2014年8月18日月曜日

具体的な事実を添えて褒めていますか?

外国人が英語で会話しているのを聞いていて感心するのは、相づちの打ち方である。なにげない日常会話であっても、表情やジェスチャー、抑揚でリズムを創り出している。また、大半の場合、気持ちを前向きにさせる以下のような反応が癖になっていることが多い。
"Amazing! " "Perfect!" " Great! " "Excellent!" " You are lucky!" " Wonderful!" " It’s so nice!"…
しかし、文化の違いからか、私たち日本人は〈褒める〉ということに対して、なにかしら一瞬ためらいを感じてしまうケースが多い。



ブランドの販売スタッフと接客スキルのトレーニングをすると、スタッフは”お客様を褒めることは、気持ちよくお買い物をしていただく上で大切である”とい うことは認識している。しかし、いざモデルケースで『なりきって、気持ちを込めてお客様を褒めてみましょう』となると、急に緊張感が生まれることがよくある。理由を聞いてみると、
  • 褒め言葉が逆にお世辞やわざとらしく聞こえて不快に感じられたら困る。
  • 褒めるタイミングがよくわからない。
  • 自分では褒めているつもりだが、「素敵ですね」などのワンパターンで終わってしまうので、あまり連呼するのも良くないと感じる。
  • お客様はいつも誰に褒められているだろうから、私が褒めたところで特に嬉しいとは感じないのではないか。
  • 自分が褒められるとどうリアクションしていいかわからない時がある。お客様もそういう気持ちになるかもしれないので、あえて言わない。
などの葛藤が見えてきた。共感する点も多々ある。確かに褒められて素直に嬉しい時と、逆に恥ずかしいと感じる時がある。また、素直に「嬉しいです、ありがとうございます。」と返せる時と、どう反応していいのかわからず、気まずい空気になる時もある。何の違いだろうか?
私なりに考えると、最も大きな要因は〈何をもってこの人はそう言っているのか〉という根拠が自分でも認識できるかどうかではないかと思う。疑り深いようだ が、多くの日本人は謙虚で、褒められて当たり前とは思っていない。『褒められる』=何か特別なことをした時、何か優れたことがある時など、限定的にとらえ ている。そのくらい日常的に褒め合う文化が少ないことも影響しているかもしれない。


そこで、〈具体的な事実をつけて褒める〉ということの重要性を理解し、練習をしてみる。「お客様は腰の位置が高いので、このワンピースとブーツのバランスが本当に素敵です」等々。すると、褒められる方も納得感が急に高まり、素直に嬉しそうなリアクションをする。そして、何より褒める側にも変化が出てくる。具体的な事実を掴むために、よりお客様に興味を持ってしっかり観察しようとする。そして、気づくのである。
「動き・表情、ファッション等を見ているとお客様それぞれで何かしらのこだわりを持っている方が多い。それをどのお客様も同じと見過ごしていた」
「『ああ、ここが素敵だ』と思っても、それを表現する語彙が乏しいので、うまく気持ちが伝えられないんです。もっと素敵な語彙を使いこなせるようになりたい。」
「褒めた際のお客様のとびきりの笑顔は本当に印象的で、こちらも嬉しくなる。そういう笑顔を接客の中でたくさん引き出していきたい。それこそ私たちが提供できる極上のサービスだと思う。」
「素敵に心から褒められると、その人自体を好きになる。お客様に私たちを好きに
なっていただくきっかけがこんな足元にあったんですね。」


褒めることに徐々に慣れてきて、楽しそうに褒め合う練習をしているスタッフの表情は「お金をかけたノベルティ(販促品)にもそれなりの効果はあるが、パーソ ナルで心に響く褒め言葉はその人の生き方にすら影響を与えることがあるという意味で、より大きなパワーを発揮しうる」ということを逆に私に教えてくれるのである。


これを店長に置き換えると、部下に対する期待があるため、それに到達していないとどうしてもできていないことばかりが目についてしまう。褒め言葉は、知らず知らず”注意をする際の枕詞”になっており、心が伴っていないことがよくある。店長自身もそれを自覚していて自己嫌悪に陥っているケースもある。それを乗り越えるには、褒めるべきことは褒める、注意すべきことは注意するという区分けがまず必要である。その上で、具体的な事実を洗い出す。褒める材料がどうしても足りないときは、「あと、これを頑張ればさらに良くなる、期待している」ということでも意図は伝わる。「気持ちがあればなんとかなる」ではなく、やはりスタッフ同様、日頃の意識的なトレーニングが効果を左右するのではないだろうか。

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2014年8月4日月曜日

ブランド価値を高め続けるための店長の学びの場~ブランド店長研修シリーズ

世の中で人手不足が問題となっているが、ブランド業界でも『店長』クラスとなると意外に「適任者がなかなかいない」という声を耳にすることが多い。全く希望者がいないと言うことではない。副店長クラスや、キャリアアップを狙うスタッフはもちろんいる。しかし、「ブランド店の責任者」となるとそれだけ期待値も条件も厳しい。そのハードルを越えられる人材が思うほど希望者の中にいないケースもあるようだ。では、外から優秀そうな店長を採用したからOKかというとそうでもない。ブランドの置かれている状況や組織風土の違い等で本領を発揮できない ケースももちろんある。そうすると既存の店長から「鳴り物入りでいい待遇で入ってきたのに・・」という不満が生まれることもある。なかなか難しい。人手不足以外にも以下のような悩みもお聞きする。
  • 人数はそろっているが、店長の認識・スキルの格差がかなり大きい…
  • ベテラン店長が多く、プライドが高いため、新しい時代の変化に対応させづらい
  • 店長としての統率力は認めるが、NO.2にそれをなかなか指導・伝承できない
  • 店長間のチームワークが今一つで、商品のやりとり等でも機会ロスがある

これまでこのブログで紹介してきたラグジュアリーブランドの店長も、人間である以上は完璧ではない。完璧であれば成長の余地もない。しかし、共通して素晴らしいと思えるのは、より上を目指して、体験から貪欲に学ぼうとしている点である。 
店長に求められる役割機能がますます高度化する中で、以下の視点を持って、強みに磨きをかけ、足りないところを補う必要があることをよく理解し、努力を重ねているとも言える。



ブランド店長の役割は、単に商品を販売し、売り上げを上げることではない。ブランドに込められている価値をお客様に正しくご理解いただき、その価値を楽しんでいただける使い方を提案すること、そしてより深くブランドを好きになっていただき、繰り返しご購入いただける関係性をスタッフと共に創り上げることである。 それだけに、ブランド店長はトレーニングをしっかり積んだ優れたリーダーであることが求められる。

私たちは新たな時代において「ブランド価値を高め、顧客を創造し続ける店舗」を運営するために、ブランド店長に必須のスキルを効果的・効率的に 高め、成果につなげることを目的とした以下のような『ブランド店長研修研修シリーズ』のサービスを開発し、提供させていただいている。

もちろん育成のための“コスト(時間・お金)”もかかるが、ブランドの伝統や価値を次世代によりよく継承するためには、必要かつ重要な投資と考える。
ブランド店長研修シリーズでは、変化の時代においてこれまでの「経験・勘・度胸」だけに頼るのではなく、しっかりと観察眼・分析力・先見性、すなわち戦略思考を磨いて新たな価値創造に取り組むリーダーを生み出すことを狙っている。ゆえに、ポイントは『知識研修』ではなく、実際のケースに基づき、悩みを共有しながらも、次のステージに行くためには何がなぜ必要かを掘り下げ、それが実践できるようにロールプレイング等で体得する流れである。
実際に研修を実施する場合は、安易なパッケージ提案ではなく、個別の打ち合わせを重ね、現場状況に即した内容・ケースを作り上げる。そのため、個々の事情にあった実践的な内容にできる。実際にご受講いただいた店長の声として
  • 「従来うまくいっていたやり方が最近なぜ通用しないんだろうと疑問でしたが、時代の変化という切り口で見てみると本当に自分が変わらなければと言う危機感を持ちました」
  • 「自分ではスタッフに伝えているつもりでしたが、ロールプレイングで客観視すると、本当の意図は全くといっていいほど伝わっていないことに気づきました」
など、謙虚に振り返る方が多いのも印象的である。
これまでに多くの研修を担当させていただき、実に多くの学びと反省に基づいて創り出した研修シリーズでもあるだけに、ブランド店長の新鮮な学びの場となれば嬉しい。 この研修は会社(一社)単位で実施しているが、異業種の店長と学ぶことで視野を広げる目的としては『店長カレッジ』(公開コース)も提供しているので、これからの店長育成の一助になれば幸いである。

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2014年7月25日金曜日

お客様との価値共創~お客様は素晴らしい広がりを提供してくれる! ~

先日テレビを見ていたら、「けん玉ワールドカップ」が広島廿日市市で行われているという映像が流れていた。世界各国からけん玉のトッププレーヤー約100人が集い、技を競う。実は今、けん玉は欧米を中心に新たな若者のストリートカルチャーとして注目を浴びているという。その技たるや、玉がぴたっと定位置に 来るように一生懸命努力するというレベルを遙かに超えて、踊りながら体を使ったアートとして、創造的な技を次々繰り広げる。観客が「こんな奥が深いモノ だと知らなかった」と言っていたが、まさにその通り、アートだった。





廿日市市はけん玉発祥の地で、かつて5割のシェアを誇っていた。ただ、その時点でおそらく作り手はこんな技がうまれることも、欧米にまで広がっていくことも 想像していなかったのではないかと思う。今の状況を作り出したのは、ある意味使い手である顧客自身である。モノに新たな価値を吹き込んで、広めてくれてい るのである。製造側以上に、顧客側の方が発想も幅広いし、創造的でもある。それがYouTubeやSNS等にのって、グローバル且つスピーディーに可能になったのが今の時代である。そして、さらに大切なのは、作り手が顧客に価値創造をゆだねて終わるのではなく、それをまた取り込んで、製造に活用していく関 係である。今回のけん玉ワールドカップでも、それを活用して、さらにどういうモノを創ると個客が喜ぶかを考えて進化させていく。そこまでいって価値共創である。


ラグジュアリーブランドでいえば、商品を購入し、使用している人の『使用目的、使用の仕方、使用実感、周囲の反応…』等を興味を持って引き出すことで、他 のお客様への提案の幅や深さが違ってくる。こちらが想定しているものとは異なる使用法もあるだろうし、なぜそうするのかを聞いていくことで新鮮な発想も吸 収できる。むしろ、販売した後にも関心を持って情報を収集しようとすることで、お客様にも「売っておしまいではなく、本当に親身になってくれている」とい う印象を持っていただける。ある高級菓子を扱っている老舗の店長は、「どのような場面で、どなたと、どんな風に召し上がりたいのか。実際に召し上がってみ てどうだったか。味だけではなく、出し方、見た目、飲み物との相性…そういったことを会話の中でさりげなく聞き出します。それによって、そのイメージに ぴったりくるようにするには、さらに何が必要かを考えます。それは商品の改善ということではなく、私たちのアドバイスの仕方が本当に今のままでいいのか、 もっと役立つアドバイスはできないか等、私たちができることのヒントもたくさんあります。それをスタッフと話し合って行動に移していく。そうすること で、”お菓子を買う”だけでなく、”相談したいからこのお店に来た”というお客様を増やしていくことができています。」と言っていた。お客様を価値共創のパートナーとして、フルに活用してみるとより仕事も楽しくなるのではないかと聞いていて思った。


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2014年7月22日火曜日

見えるモノの価値・見えないモノの価値~ハードとソフト融合の時代~

モノ中心の社会からサービス化社会になったと言われて久しい。しかし、モノとサービスは切っても切れない関係にあり、シーソーのように、どちらが大事というものではない。モノそのものだけで勝負する時代が終わり、モノとサービス、もっと言えば【ハードとソフトの融合】が大切になっている。あえて“融合”と 書いたのは、どこからどこまでがハードで…ということではなく、お互いに溶け合って一つの“形”や“ストーリー”あるいは“体験”となって、お客様に価値 を提供するイメージである。


ところが、未だにその発想がなかなか浸透せず、「箱物」にこだわるケースも多いのが実情である。例えば、今学校のICT化に大きな予算がつけられている。そこでは 「コンピューター教室(電子黒板・タブレット・電子ペーパー等、無線でつながれた世界)」が出現し、それによって一人一台iPadを持ちながら、動く映像を見つつ、楽しんで参画する授業イメージが描かれている。が、本当の意味で育成に大切なのはコンテンツ(教える内容)であり、そのコンテンツを創る指導側の スキルやスタンスである。必要なことを習得するために、どうすれば子供たちが興味を持ち、深く考えるようになるのか?どうすれば自発的に調べようとする気持ちになるのか?どうすれば達成意欲をもっと引き出せるのか?…そういった人間の心理の動きに沿った授業運営でなければ、おそらく効果は生まれない。そのためには、目の前にいる生徒へ対する教える側の関心、目的・悩みの共有、個々のこだわりなどについての理解の質が重要である。もちろんハード基盤を整備すること は、作業的なことや環境保護の点で重要である。しかし、最終的には『ICT化によって、国として今まで以上に、どのような人材をより効果的に育成できるように なるのか』というビジョンの下に、これまでの反省とさらなる研究が必要になる。サービス化社会とは、逆に言えば、華やかなハードに目を奪われすぎることな く、目から直接見えないものの価値の重要性が増す社会であるとも言える。



ラグジュアリーブランドに置き換えると、斬新でより洗練されたデザインはさらに重要になる。しかし一方、モノ余りの中で、それだけではすぐに飽きられてしま う。むしろ、本当の意義を持つのが【ハードとソフトが融合した価値】である。店舗のデザイン、VMD、接客…全てを通して、目の前のお客様に何をどう感じていただきたいのか?そのためにはさらに何を改善できるのか?…となると、店長として以下のことを理解しておく必要がある。
  1. なぜ店舗がこのような設計、デザインになっているのか?(店舗コンセプト)
  2. なぜこのようなVMDが必要か?
  3. どのような接客をすることが、目の前のお客様にとって最高の価値を感じていただけることにつながるのか?
  4. それをスタッフが主体的にできるようにするには、どういった指導・支援が常日頃必要なのか?
答えは簡単ではない。お客様やスタッフ、会社とのコミュニケーションを通じて研究していく必要がある。しかし、この見えない取り組みこそが大きな価値につながる時代に突入していることを自覚することで、成長する。


あるラグジュアリーブランド店長は、「素敵なステージで仕事をさせてもらえて幸せです。床ひとつ・椅子ひとつにも最高のこだわりがあって、緻密に計算されて います。それも全て”ブランドの世界観を凝縮して感じていただくため”です。ただ、こちらがそれを深く理解し、押しつけではなく、体感していただくために は、それにふさわしい接客をすることが必要です。そうやって誰一人手を抜かないことで、初めてブランドの世界観が伝わるのです。責任は重大です。」とつぶやいた。本物とは、そういう心が創り出していくのだと教えられた言葉だった。

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2014年7月14日月曜日

『「+1」の商品のおすすめが苦手なんです』…感覚は人それぞれ

あるブランドのスタッフが、「今、会社から”プラス1点のおすすめをしましょう!”と盛んに言われるんですが、それがなかなかできないんです。」と悩んでいた。確かにデータで見ても、単品売りで終わっている。セット販売が比較的上手なスタッフも同じ店舗にいることから、「何がどう違うと思う?」と考えてもらった。もちろんコーディネートのスキルの差等もあると思うが、掘り下げていくと「意識」の違いが最も大きな違いであることが徐々にわかってきた。すなわち、苦手だと思っているスタッフは、お客様に商品をおすすめするにあたって、
  • 「1点購入を決めたらすかさず売りこんできて、押し売り的だと思われたら嫌だな。」
  • 「お金に余裕がないのにすすめられたら心理的に負担に感じるだろう。」
  • 「別に欲しくもないものをすすめられて断らなければならないという手間をかけさせるのは申し訳ない。」
と否定的に考えてしまう。そう考えてしまうのは、「もし自分が買う側の立場だったらそう思うだろう。」という気持ちがあるからである。だから、少しお客 様が躊躇される様子があると、慌てて「すみません。別にこちらはいいんですよ。」と提案したモノを引っ込めてしまう。その気持ちもわからないではない。高額なモノを次々買えるほど余裕はないし、それを見透かされるのも嫌だし、確かに押し売り的だと感じる…という体験は私にもある。ところが、別のラグジュア リーブランドの店長兼トレーナーの方にその話をすると、「その発想を変えなければラグジュアリーブランドの世界ではやっていけません。」と言われた。何を どう変えるべきなのか?興味を持って話を聴くと、以下のような答えが返ってきた。



彼女が体験から導き出した法則の一つが、『お客様を自分の延長線上でとらえるな』ということである。「金銭的に云々というのは、あくまで自分を物差しとした見方です。私達のブランドブティックで買い物をしていただけるお客様は、そういう次元にはないということをよく理解しておく必要があります。例えば、私達が必要があってユニクロに買い物に行って、Tシャツ1枚で帰ってきますか?よく言う”ついでだから” もう1枚着替え用に買っておこうか、”ついでだから”ジーンズもそろえておこうか、そういえば日常用のスカーフもあったほうが便利かな…という気持ちで、 思った以上のモノを買って帰るという経験はありませんか?そういう感覚でお買い物をされているお客様の気持ちになれば、”実はお客様、こちらと併せて使っていただくとすごく重宝するアイテムがございます。珍しい色合いの物なので、ぜひご覧いただきたいんです。”と言われたらどうですか?ちょっとした特別感 とか、自分のことを考えていい提案をしてくれるのかなという期待感を持っていただけます。また、それがあるから会話も進み、次から自分のことを覚えていただける関係も創りやすくなります。それでこそ提案する私たちの存在価値も高まるんです。」

言葉ではよく「お客様の立場に立つことが大切」と言うが、本当の意味でお客様の立場に立つためには、実はとことん相手を知るという意味での研究が必要がある。彼女は経験を通して相手の状況・心理を深く理解する努力を重ねてきた。それがお客様にも受け入れられているのだと感じる。逆に、そこまでの関心も持たず「とにかくプラス1点勧めなければ…」という販売側の想いが優先した提案は、お客様にはどこまで行っても不快な提案となる。お客様も変化し続けているので、決めつけは怖い。常に「わかったつもり」ではなく、関心を寄せ、研究し続けていくことで、本当にお客様が価値を実感できる提案を生み出せるのだと考えさせられる内容だった。

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2014年7月7日月曜日

約束×年数=信用

「約束×年数=信用」
古いことわざで言えば「築城10年、落城3日」という意味合いに通じるのかもしれない。すなわち、信用とは一朝一夕にできあがるものではない。約束をしっ かり守り続け、勝ち得ていくものである。しかし一方、どれだけ年数を重ねてきても、約束を守れなければ信用は作れないし、作った信用も気の緩みから一瞬に して崩れ去ることもある。当たり前のことではあるが、言うのは簡単だが実践するのが難しく、それだけに時代を超えて重みを感じる言葉でもある。


私がお会いしたあるラグジュアリーブランド店長は、長期にわたり素晴らしい顧客を多数維持していた。その秘訣を聞くと、「お客様との約束を守るのは当然ですが、私は特に"小さな約束"をしっかり守ることを大切にしてきました。また、お客様・会社・スタッフ・友人との約束もそうですが、自分でやると決めたこと、つまり自分との約束も必ずメモをして実行することに努めてきました。」という言葉が返ってきた。私が、「すごいですね。大勢の人はそれがなかなかできないんですよね。それができること自体が素晴らしい能力ですね。」というと、笑いながら「だから、できない約束はしません。どの約束も"できるレベル"でしかしないので、そんな大げさに考えないでください。」と言った。そして、「私ってメモ魔なので、必ずメモをします。実行した約束から消していくんですが、それが残ったままになっているのがとっても嫌なんです。それにもしも、途中でこの約束は無理とわかったら、絶対そのままにはしません。早めにできないことを謝罪と共に伝えます。そう考えていったら、できないことはないという結論になるんです!」


約束の重さを知る。それは個人のレベルだけでなく、ラグジュアリーブランドそのものにとっても存続していくための必須条件である。実際、多くのラグジュア リーブランドを垣間見てきて、どのような時代変化に対しても土台が揺らぐことなく結束してチャレンジできている会社は、順調な時でも"言ったことはやり きる"というこだわりを持っている。確かに厳しい面もあるが、それがあるからこそ、お客様以前に「会社と従業員」「従業員同士」の信頼・信用が築けている と感じるのである。
大きな約束の一つに、政治家がよく言う「公約」がある。結局終わってみたら、全くできていないこともしばしばである。しかし、"公約なんてまさに口約(口約束)"と思っている国民も多い。そこに"なんとしてもやりきる"という責任感を感じられないからである。大きな約束も、最終的には小さな約束の積み重ねである。それを積み上げていく中で、「この人の言うことなら信じられる」「この人なら任せられる」「この人なら裏切らない」という気持ちを醸成していく。その結果、多くの協力者が進んで協力してくれるようになる。すると、より大きなチャンスも掴みやすくなる。実際、そのラグジュアリーブランドの店長は、「私の力と言うよりは、お客様が他のお客様をよく紹介してくださいます。その際に、"この人なら安心よ。この人は信頼できる人よ。この人は嘘はつかない人よ。"など、一言添えてくださいます。その言葉をお聞きするたびに、気を引き締めて期待を裏切らないようにしたいと頑張ってきました。私よりもおすすめ上手だったり、会話を盛り上げられたり、笑顔が素敵な店長やスタッフは他にもたくさんいると思いますが、私にとっては、"あなたのことを信用している"とい う言葉が一番ありがたい褒め言葉です。愚直にやってきて良かったと思う瞬間です。」と言っていた。

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2014年7月1日火曜日

変革のリーダーを輩出せよ!~店長カレッジに思うこと~

今年の4月から札幌で、毎月1回8月までの5回シリーズの【店長カレッジ】を開講している。様々な業種・規模の会社から、今後を期待されている店長及び次 期店長候補が20名集まって、朝10時から夕方5時までという限られた時間の中で、より価値のある店舗を作るために何をどうすべきかを討議し合ったり意見 交換をしたりする。4~5名のチームごとで研究し、スタッフ育成のための対話のロールプレイングや戦略プレゼンテーションの練習等も行う。期待されている人材だけに、それぞれの会社内で"店舗マネジメント"に関してOFF-JTやOJTを受けており、実績も上げている人達が中心である。ただし、今回の店長 カレッジは『異業種交流を通じてより視野を広げる』という点が特徴的である。もちろん業種も違えば環境も異なる。部下50名を持ち管理を中心に任されてい る店長もいれば、全体で3~4名体制の少数精鋭で率先垂範が重視される店長もいる。"ブランド"と言っても、高額品を扱っている店もあれば、手頃な値段の 商品を数千個販売するスタイルの店もある。


以前は、「うちの業界は特殊だから、他業界の話を聴いても参考にならない」という固定観念が強く、せっかくの機会を生かし切れないケースもあった。しかし、時代は変わった。参加している店長の皆さんに共通して言えるのは、「『過去~だったから』はもう通用しない、『これからどうあるべきか』を自分たちが 考え出さなければならない」という強い思いを持っていることである。そのためには、自社内や自分達の業界の成功モデルだけを手本にしていても発想に限界が ある。むしろ、昔の成功体験こそが怖かったりする。だから、熱心に他業種の話に耳を傾ける。関心があることについてどんどん質問する。関係が深まってくる と懇親会等も行い、よりざっくばらんに話せる関係を構築していく。会社が主導したり、私がコーディネートしたりする必要ないほど、各人が主体的に学ぼうと しているのが印象的である。


しかし、そういう流れはある種必然とも言える。新宿伊勢丹の大西洋社長が、川島蓉子さんのインタビューに答えて次のように語っている。川島さん曰く「これまで私がインタビューした様々な分野の経営トップの方々が中間管理職の人材についてこう話しています。『過去の成功体験を引きずり、新しいことに挑戦してくれない』『先行き不透明な中、維持や保身に走る傾向が強い』」
それに対し、大西社長が「そこでまず中間管理職にそれなりの予算と権限を与えて、自由に外の人と会う時間を 作るなど、環境と裁量を与えるようにしています.(中略)変革やチャレンジを積極的に評価していこうと、人事評価のやり方を変えました。動いた人、新しい ことにチャレンジした人を評価する評価項目を設けました。」「(ただし)過去の経験値が頭の中にしっかり入っていて、固まっている人が中に入るのではない でしょうか?一方で縦割り組織の弊害もあると思います。それを変えるための施策にも手をつけ始めました。」

(引用:日経ビジネスオンライン  2014年6月27日 ダサい社長が日本をつぶす![20代女子たちが変えた新宿伊勢丹の秘密] http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140609/266550/?rt=nocnt


これだけ私達を取り巻く環境が変わり、ビジネスのあり方も変わり、求められるものも変わり続ける中で、最後に変革のブレーキになるのは"人の意識・行動パターン"である。しかも、最終的に自分の意識を変えられるのは、自分自身でしかない。店長カレッジで異業種の店長と悩みを分かち合いつつ、未来思考で何ができるかをとことん議論しながら、自分のやり方や考え方をあらためて客観的に見つめ直す。その中で、『まだできること、やっていないことがこんなにある』『可能性は無限である』という気づきを得ることで、変革のリーダーとして各店長が今後 ますます活躍されるのを心から支援したい。

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