2014年8月18日月曜日

具体的な事実を添えて褒めていますか?

外国人が英語で会話しているのを聞いていて感心するのは、相づちの打ち方である。なにげない日常会話であっても、表情やジェスチャー、抑揚でリズムを創り出している。また、大半の場合、気持ちを前向きにさせる以下のような反応が癖になっていることが多い。
"Amazing! " "Perfect!" " Great! " "Excellent!" " You are lucky!" " Wonderful!" " It’s so nice!"…
しかし、文化の違いからか、私たち日本人は〈褒める〉ということに対して、なにかしら一瞬ためらいを感じてしまうケースが多い。



ブランドの販売スタッフと接客スキルのトレーニングをすると、スタッフは”お客様を褒めることは、気持ちよくお買い物をしていただく上で大切である”とい うことは認識している。しかし、いざモデルケースで『なりきって、気持ちを込めてお客様を褒めてみましょう』となると、急に緊張感が生まれることがよくある。理由を聞いてみると、
  • 褒め言葉が逆にお世辞やわざとらしく聞こえて不快に感じられたら困る。
  • 褒めるタイミングがよくわからない。
  • 自分では褒めているつもりだが、「素敵ですね」などのワンパターンで終わってしまうので、あまり連呼するのも良くないと感じる。
  • お客様はいつも誰に褒められているだろうから、私が褒めたところで特に嬉しいとは感じないのではないか。
  • 自分が褒められるとどうリアクションしていいかわからない時がある。お客様もそういう気持ちになるかもしれないので、あえて言わない。
などの葛藤が見えてきた。共感する点も多々ある。確かに褒められて素直に嬉しい時と、逆に恥ずかしいと感じる時がある。また、素直に「嬉しいです、ありがとうございます。」と返せる時と、どう反応していいのかわからず、気まずい空気になる時もある。何の違いだろうか?
私なりに考えると、最も大きな要因は〈何をもってこの人はそう言っているのか〉という根拠が自分でも認識できるかどうかではないかと思う。疑り深いようだ が、多くの日本人は謙虚で、褒められて当たり前とは思っていない。『褒められる』=何か特別なことをした時、何か優れたことがある時など、限定的にとらえ ている。そのくらい日常的に褒め合う文化が少ないことも影響しているかもしれない。


そこで、〈具体的な事実をつけて褒める〉ということの重要性を理解し、練習をしてみる。「お客様は腰の位置が高いので、このワンピースとブーツのバランスが本当に素敵です」等々。すると、褒められる方も納得感が急に高まり、素直に嬉しそうなリアクションをする。そして、何より褒める側にも変化が出てくる。具体的な事実を掴むために、よりお客様に興味を持ってしっかり観察しようとする。そして、気づくのである。
「動き・表情、ファッション等を見ているとお客様それぞれで何かしらのこだわりを持っている方が多い。それをどのお客様も同じと見過ごしていた」
「『ああ、ここが素敵だ』と思っても、それを表現する語彙が乏しいので、うまく気持ちが伝えられないんです。もっと素敵な語彙を使いこなせるようになりたい。」
「褒めた際のお客様のとびきりの笑顔は本当に印象的で、こちらも嬉しくなる。そういう笑顔を接客の中でたくさん引き出していきたい。それこそ私たちが提供できる極上のサービスだと思う。」
「素敵に心から褒められると、その人自体を好きになる。お客様に私たちを好きに
なっていただくきっかけがこんな足元にあったんですね。」


褒めることに徐々に慣れてきて、楽しそうに褒め合う練習をしているスタッフの表情は「お金をかけたノベルティ(販促品)にもそれなりの効果はあるが、パーソ ナルで心に響く褒め言葉はその人の生き方にすら影響を与えることがあるという意味で、より大きなパワーを発揮しうる」ということを逆に私に教えてくれるのである。


これを店長に置き換えると、部下に対する期待があるため、それに到達していないとどうしてもできていないことばかりが目についてしまう。褒め言葉は、知らず知らず”注意をする際の枕詞”になっており、心が伴っていないことがよくある。店長自身もそれを自覚していて自己嫌悪に陥っているケースもある。それを乗り越えるには、褒めるべきことは褒める、注意すべきことは注意するという区分けがまず必要である。その上で、具体的な事実を洗い出す。褒める材料がどうしても足りないときは、「あと、これを頑張ればさらに良くなる、期待している」ということでも意図は伝わる。「気持ちがあればなんとかなる」ではなく、やはりスタッフ同様、日頃の意識的なトレーニングが効果を左右するのではないだろうか。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
サービスデザイン研究所
Service Design Institute
代表取締役/サービスデザイナー 袋井 泰江(Fukuroi Yasuko)













ホームページ:http://sdi.ecnet.jp/
Facebookページ:http://p.tl/7ZpR
▼サービスデザイン研究所 Official blog:http://blogs.yahoo.co.jp/sdi20041101

▼袋井のブログ
『サービスデザイナーが行く!~未見の価値共創への挑戦~』:http://servicedesigner-fukuroi.blogspot.jp/ 
⇒【人が育つコールセンターづくりへの挑戦~コールセンターブログ】:http://sdi20041101-callcenter-fukuroi.blogspot.jp/

▼店長カレッジのご案内
2015年1月より「プロフェッショナル店長養成講座【店長カレッジ】(全4回)」を東京にて開催いたします。詳細は下記ご案内をご覧ください。
店長カレッジのご案内(PDFファイル) 

【グローバルサービスデザインで新たな時代を切り拓く!】
独自のサービスデザインスキルにより、サービス革新に挑戦する組織の顧客価値創造支援を行います。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年8月4日月曜日

ブランド価値を高め続けるための店長の学びの場~ブランド店長研修シリーズ

世の中で人手不足が問題となっているが、ブランド業界でも『店長』クラスとなると意外に「適任者がなかなかいない」という声を耳にすることが多い。全く希望者がいないと言うことではない。副店長クラスや、キャリアアップを狙うスタッフはもちろんいる。しかし、「ブランド店の責任者」となるとそれだけ期待値も条件も厳しい。そのハードルを越えられる人材が思うほど希望者の中にいないケースもあるようだ。では、外から優秀そうな店長を採用したからOKかというとそうでもない。ブランドの置かれている状況や組織風土の違い等で本領を発揮できない ケースももちろんある。そうすると既存の店長から「鳴り物入りでいい待遇で入ってきたのに・・」という不満が生まれることもある。なかなか難しい。人手不足以外にも以下のような悩みもお聞きする。
  • 人数はそろっているが、店長の認識・スキルの格差がかなり大きい…
  • ベテラン店長が多く、プライドが高いため、新しい時代の変化に対応させづらい
  • 店長としての統率力は認めるが、NO.2にそれをなかなか指導・伝承できない
  • 店長間のチームワークが今一つで、商品のやりとり等でも機会ロスがある

これまでこのブログで紹介してきたラグジュアリーブランドの店長も、人間である以上は完璧ではない。完璧であれば成長の余地もない。しかし、共通して素晴らしいと思えるのは、より上を目指して、体験から貪欲に学ぼうとしている点である。 
店長に求められる役割機能がますます高度化する中で、以下の視点を持って、強みに磨きをかけ、足りないところを補う必要があることをよく理解し、努力を重ねているとも言える。



ブランド店長の役割は、単に商品を販売し、売り上げを上げることではない。ブランドに込められている価値をお客様に正しくご理解いただき、その価値を楽しんでいただける使い方を提案すること、そしてより深くブランドを好きになっていただき、繰り返しご購入いただける関係性をスタッフと共に創り上げることである。 それだけに、ブランド店長はトレーニングをしっかり積んだ優れたリーダーであることが求められる。

私たちは新たな時代において「ブランド価値を高め、顧客を創造し続ける店舗」を運営するために、ブランド店長に必須のスキルを効果的・効率的に 高め、成果につなげることを目的とした以下のような『ブランド店長研修研修シリーズ』のサービスを開発し、提供させていただいている。

もちろん育成のための“コスト(時間・お金)”もかかるが、ブランドの伝統や価値を次世代によりよく継承するためには、必要かつ重要な投資と考える。
ブランド店長研修シリーズでは、変化の時代においてこれまでの「経験・勘・度胸」だけに頼るのではなく、しっかりと観察眼・分析力・先見性、すなわち戦略思考を磨いて新たな価値創造に取り組むリーダーを生み出すことを狙っている。ゆえに、ポイントは『知識研修』ではなく、実際のケースに基づき、悩みを共有しながらも、次のステージに行くためには何がなぜ必要かを掘り下げ、それが実践できるようにロールプレイング等で体得する流れである。
実際に研修を実施する場合は、安易なパッケージ提案ではなく、個別の打ち合わせを重ね、現場状況に即した内容・ケースを作り上げる。そのため、個々の事情にあった実践的な内容にできる。実際にご受講いただいた店長の声として
  • 「従来うまくいっていたやり方が最近なぜ通用しないんだろうと疑問でしたが、時代の変化という切り口で見てみると本当に自分が変わらなければと言う危機感を持ちました」
  • 「自分ではスタッフに伝えているつもりでしたが、ロールプレイングで客観視すると、本当の意図は全くといっていいほど伝わっていないことに気づきました」
など、謙虚に振り返る方が多いのも印象的である。
これまでに多くの研修を担当させていただき、実に多くの学びと反省に基づいて創り出した研修シリーズでもあるだけに、ブランド店長の新鮮な学びの場となれば嬉しい。 この研修は会社(一社)単位で実施しているが、異業種の店長と学ぶことで視野を広げる目的としては『店長カレッジ』(公開コース)も提供しているので、これからの店長育成の一助になれば幸いである。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
サービスデザイン研究所
Service Design Institute
代表取締役/サービスデザイナー 袋井 泰江(Fukuroi Yasuko)













ホームページ:http://sdi.ecnet.jp/
Facebookページ:http://p.tl/7ZpR

▼サービスデザイン研究所 Official blog:http://blogs.yahoo.co.jp/sdi20041101

▼袋井のブログ
『サービスデザイナーが行く!~未見の価値共創への挑戦~』:http://servicedesigner-fukuroi.blogspot.jp/ 
⇒【人が育つコールセンターづくりへの挑戦~コールセンターブログ】:http://sdi20041101-callcenter-fukuroi.blogspot.jp/

▼店長カレッジのご案内
2015年1月より「プロフェッショナル店長養成講座【店長カレッジ】(全4回)」を東京にて開催いたします。詳細は下記ご案内をご覧ください。
店長カレッジのご案内(PDFファイル) 

【グローバルサービスデザインで新たな時代を切り拓く!】
独自のサービスデザインスキルにより、サービス革新に挑戦する組織の顧客価値創造支援を行います。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* このエントリーをはてなブックマークに追加