"Amazing! " "Perfect!" " Great! " "Excellent!" " You are lucky!" " Wonderful!" " It’s so nice!"…
しかし、文化の違いからか、私たち日本人は〈褒める〉ということに対して、なにかしら一瞬ためらいを感じてしまうケースが多い。
ブランドの販売スタッフと接客スキルのトレーニングをすると、スタッフは”お客様を褒めることは、気持ちよくお買い物をしていただく上で大切である”とい うことは認識している。しかし、いざモデルケースで『なりきって、気持ちを込めてお客様を褒めてみましょう』となると、急に緊張感が生まれることがよくある。理由を聞いてみると、
- 褒め言葉が逆にお世辞やわざとらしく聞こえて不快に感じられたら困る。
- 褒めるタイミングがよくわからない。
- 自分では褒めているつもりだが、「素敵ですね」などのワンパターンで終わってしまうので、あまり連呼するのも良くないと感じる。
- お客様はいつも誰に褒められているだろうから、私が褒めたところで特に嬉しいとは感じないのではないか。
- 自分が褒められるとどうリアクションしていいかわからない時がある。お客様もそういう気持ちになるかもしれないので、あえて言わない。
私なりに考えると、最も大きな要因は〈何をもってこの人はそう言っているのか〉という根拠が自分でも認識できるかどうかではないかと思う。疑り深いようだ が、多くの日本人は謙虚で、褒められて当たり前とは思っていない。『褒められる』=何か特別なことをした時、何か優れたことがある時など、限定的にとらえ ている。そのくらい日常的に褒め合う文化が少ないことも影響しているかもしれない。
そこで、〈具体的な事実をつけて褒める〉ということの重要性を理解し、練習をしてみる。「お客様は腰の位置が高いので、このワンピースとブーツのバランスが本当に素敵です」等々。すると、褒められる方も納得感が急に高まり、素直に嬉しそうなリアクションをする。そして、何より褒める側にも変化が出てくる。具体的な事実を掴むために、よりお客様に興味を持ってしっかり観察しようとする。そして、気づくのである。
「動き・表情、ファッション等を見ているとお客様それぞれで何かしらのこだわりを持っている方が多い。それをどのお客様も同じと見過ごしていた」
「『ああ、ここが素敵だ』と思っても、それを表現する語彙が乏しいので、うまく気持ちが伝えられないんです。もっと素敵な語彙を使いこなせるようになりたい。」
「褒めた際のお客様のとびきりの笑顔は本当に印象的で、こちらも嬉しくなる。そういう笑顔を接客の中でたくさん引き出していきたい。それこそ私たちが提供できる極上のサービスだと思う。」
「素敵に心から褒められると、その人自体を好きになる。お客様に私たちを好きに
なっていただくきっかけがこんな足元にあったんですね。」
褒めることに徐々に慣れてきて、楽しそうに褒め合う練習をしているスタッフの表情は「お金をかけたノベルティ(販促品)にもそれなりの効果はあるが、パーソ ナルで心に響く褒め言葉はその人の生き方にすら影響を与えることがあるという意味で、より大きなパワーを発揮しうる」ということを逆に私に教えてくれるのである。
これを店長に置き換えると、部下に対する期待があるため、それに到達していないとどうしてもできていないことばかりが目についてしまう。褒め言葉は、知らず知らず”注意をする際の枕詞”になっており、心が伴っていないことがよくある。店長自身もそれを自覚していて自己嫌悪に陥っているケースもある。それを乗り越えるには、褒めるべきことは褒める、注意すべきことは注意するという区分けがまず必要である。その上で、具体的な事実を洗い出す。褒める材料がどうしても足りないときは、「あと、これを頑張ればさらに良くなる、期待している」ということでも意図は伝わる。「気持ちがあればなんとかなる」ではなく、やはりスタッフ同様、日頃の意識的なトレーニングが効果を左右するのではないだろうか。
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サービスデザイン研究所
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